地球上の物体は、地球から鉛直下向きに力を受けている。このとき、地球と物体のあいだにはたらく万有引力を考えてもいいが、空間から重力という力を受けていると考えてもいい。このような空間を場(ば)といって、特に重力を与える空間を重力場という。
質量を持つ物体が重力を受ける重力場と同じように、電荷が空間から静電気力を受けると考えたとき、その空間を電場という。
質量mの物体が重力場gから受ける力がmgだから、電気量+qの電荷が電場Eから受ける力を
と表そう。こうすると電場Eの単位は〔N/C〕になるから、電場とは、+1Cの電荷が受ける静電気力のことであると言える。
それでは、点電荷が作る電場を求めてみよう。クーロンの法則より、電気量+Q,+qの点電荷の間には、次のような大きさを持つ静電気力Fがはたらくことになる。
ここで、+qの電荷だけに注目をしてみると、この電荷は+Qの点電荷が作る電場Eから静電気力Fを受けていると考えることができる。「F=qE」と比較をすれば、
となり、点電荷Qが作る電場Eを求めることができる。ただし、この式は、最初の図に表したような一様な電場には適用できないので気を付けよう。
問題
(-a,0)の位置に+Q〔C〕,(a,0)の位置にーQ〔C〕の電荷が置かれている。このとき、これらの電荷が(0,a)の位置につくる磁場E〔N/C〕の向きと大きさを求めよ。
解答
(0,a)の位置に+1Cの電荷を置いて考える。(-a,0)の位置にある+q〔C〕の電荷が作る電場E1〔N/C〕は
(a,0)にある-q〔C〕の電荷が作る磁場E2〔N/C〕は
電場はベクトルだから、電場の和を考えるときはベクトルの和を考えなくてはならない。図を描いて計算すれば、
電場とは、+1Cの電荷(試験電荷という)が受ける静電気力のことであった。実は、この内容は電場の大きさだけでなく、向きにも当てはまる。そうすると、正電荷から放射状に電場の矢印を描くことができる。この矢印を電気力線(りきせん)という。
電気力線のポイントは2つ。
ここで電気力線にルールをもう1つ加えよう。それは、
というもの。Eはもちろん電場Eのこと。こうすると、+Q〔C〕の電荷を中心に持つ半径r〔m〕の球から出ている電気力線の合計N〔本〕は、
と計算できる。
今は球を考えたが、実はこの値は球に限らず、電気量+Q〔C〕を覆う閉曲面を考えたとき、この表面からはN(=4πkQ)本の電気力線が出ているのだ。この内容をガウスの法則といい、逆にガウスの法則から電場E〔N/C〕を求めることもできる。
さて、ここで面積S〔m2〕と同じ大きさで、その面に垂直なベクトルSを導入しよう。これを面積ベクトルという。これを使って、ガウスの法則をベクトルで表してみよう。
微小な面積dSを貫く電気力線の数はEdSだから、閉曲面全体を貫く電気力線の数Nは、EdSを閉曲面の表面積S全体について足し合わせればいい。これを積分記号を使って、
と表す。電場もベクトルであるということも忘れずに。
問題
水平面上にS〔m2〕あたり+Q〔C〕の電荷が一様に分布している。この面がつくる電場の大きさE〔N/C〕を求めよ。
上下に電場が作られることに注意。面Sを断面に持つような角柱を考えて、その領域を通過する電気力線の数がN本であるという関係を使って解いていく。
電気力線の数は1m2あたりE本だから、上面・下面だけに注目すると、それぞれES本ずつの電気力線が出ていることになる。この合計がN本であることから、