大気と海洋


大気の構造

 地球の大気は、温度構造によって対流圏、成層圏、中間圏、熱圏に分類できる。対流圏はおよそ10kmの高さまでで、高度とともに気温が低下し、成層圏との境界である圏界面で極小となる。地上の気圧が約1000hPa、圏界面の気圧が約200hPaであり、大気の質量の8割が対流圏にある。気象現象のほとんどが対流圏で起こる。成層圏では高度とともに気温が上昇する。これは高度20~30kmの位置にあるオゾン層が紫外線を吸収しているためである。中高緯度地域の成層圏では、東西方向に一周する風向きが季節によって反転し、夏には東風、冬には西風が吹く。西風は緯度60度付近で特に強く、極側には極渦と呼ばれる巨大な低気圧ができる。-78℃以下の低温状態では、氷などからなる極成層圏雲が形成され、その表面で紫外線によるオゾンの分解が進む。この変化を促進するのがフロンであり、春になると南極上空にオゾンホールが出現する。冬には極渦が一時的に崩壊して極域の気温が4~5日で30~40℃上昇する成層圏突然昇温が起こることがある。赤道上空の成層圏では、約13か月ごとに東風と西風の向きが逆転する準2年振動が起こっている。中間圏では高度とともに気温が低下する。高緯度地域では夏に上昇気流が強まり、冬よりもさらに低温になる。こうして熱圏との境界付近で生じた氷の粒は、夜光雲として観測される。成層圏と中間圏を中層大気と呼ぶ。高度とともに気圧が下がっていくが、大気組成は中間圏界面までほとんど一定である。熱圏では高度とともに気温が上昇し、400kmの高度で約700℃になっている。熱圏の気体は太陽からのX線や紫外線によって分子の一部が原子になっており、その大部分はイオンと電子に分かれている。電子の密度が特に高い層を電離層という。熱圏は流星やオーロラが見られる場所でもあり、太陽系内に漂う塵が高速で熱圏に侵入すると、流星が見られる。

地球の熱収支

 太陽から地球に届くエネルギーを太陽放射と呼び、可視光線が最も多い。逆に地球から放出されるエネルギーを地球放射と呼び、主に赤外線である。地球放射と太陽放射のエネルギーは等しくなっている。また、地球大気の上部に届く太陽のエネルギーと、地表や大気で反射するエネルギーの比をアルベドと呼び、およそ30%である。海のアルベドは小さく、雪のアルベドは大きい。太陽放射が大気の上部1平方メートルに与える1秒間あたりのエネルギーを太陽定数と呼び、1.37kW/m2である。地球の表面全体が受ける平均日射は太陽定数の1/4である。地球放射の波長のうち、8~13μmの赤外線領域を大気の窓と呼び、この赤外線は大気に吸収されにくく、ほとんどが大気を透過する。地球全体だけでなく、地球の表面が吸収するエネルギーと放出するエネルギーはつり合っている。大気の上部に届くエネルギーを100とすると、地表に直接到達する太陽放射が47、大気から地表への放射が97なので合わせて144、地表から放出される地球放射が116、潜熱による輸送が23、顕熱による輸送が5なので合わせて144である。大気が吸収するエネルギーと放出するエネルギーもつり合っている。大気が吸収する太陽放射が23、地球放射が104、潜熱や顕熱による輸送が28で合わせて155、大気から地表に向かう放射が97、宇宙に向かう放射が58なので合わせて155である。地球全体で太陽放射と地球放射はつり合っているが、緯度ごとにはばらつきがある。地球放射は緯度ごとにあまり違いはないが、太陽放射は低緯度で大きく高緯度で小さいためである。このため、低緯度から高緯度へ大気と海洋によって熱が輸送されている。

風の吹き方

 周囲より気圧が高い領域を高気圧、低い領域を低気圧という。大気は気圧が高いほうから低いほうへ気圧傾度力という力を受けるため、局所的にはこの力と同じ向きに風が吹く。例えば、海よりも陸の方が温まりやすいため、日中は陸側の温度の方が高くなる。すると上昇気流が発生して陸側の気圧が低くなるので、海岸付近では海から陸に向かう風が吹くことになる。これを海風と呼ぶ。逆に、夜間は冷めにくい海面の温度の方が高いため、海側の気圧が低くなり、陸から海に向かう風が吹く。これを陸風と呼ぶ。海風や陸風は合わせて海陸風とも呼ぶ。夏に海洋から大陸に向かって吹く風や、冬に大陸から海洋に向かって吹く風も同じ仕組みで、これを季節風と呼ぶ。

ところで、地球の自転の影響が無視できないような大きなスケールでは、コリオリ力と呼ばれる、北半球では進行方向に対して右向き、南半球では左向きの力を考える必要がある。上空の大気は気圧傾度力とコリオリ力がつり合った状態になっており、等圧線に沿って風が吹いている。この風を地衡風と呼ぶ。低気圧や高気圧の周辺では、遠心力を加えた3つの力がつり合った状態で風が吹いている。この風を傾度風と呼ぶ。上空では等圧線に沿って風が吹くが、地上付近では進行方向と逆向きに摩擦力がはたらくため、等圧線を横切り、低圧部に向かうような風が吹いている。そのため、低気圧の周辺では等圧線を横切って中心に吹き込む風、高気圧の周りでは中心から噴き出す風が吹く。

大気の大循環

今日のテーマは、大気の大循環です。赤道地域では太陽放射が地球放射よりも大きく、暖められた大気が上昇しています。上昇した大気が低緯度地域から中緯度へ移動すると、下降して高気圧ができます。これを亜熱帯高圧帯と呼びます。下降した大気は赤道地域へ戻り、熱帯収束帯となります。このような低緯度地域の循環をハドレー循環と呼びます。熱帯収束帯では降水量が蒸発量よりも多くなっており、亜熱帯高圧帯では蒸発量が降水量よりも多くなっています。同じような循環が高緯度地域にもあり、極循環と呼ばれています。こうして地上を吹く風は、低緯度地域へ移動しながらコリオリ力によって西へ曲がります。この風は貿易風や極偏東風などと呼ばれています。中緯度帯の上空では、南北に蛇行する強い西風が吹いており、これを偏西風と呼びます。偏西風の速さは100メートル毎秒を超えることもあり、特に強い風はジェット気流と呼ばれています。

 

低圧部が高圧部へ張り出した部分を気圧の谷、高圧部が低圧部に張り出した部分を気圧の尾根と呼び、気圧の谷の東側は気温が高く、西側で低くなっています。こうして偏西風が南北に蛇行することで、熱が高緯度側へ輸送されているのです。また、地上の温帯低気圧と上空の気圧の谷を結ぶ線が西に傾いているときは、低気圧の前面で上昇流、後面で下降流が生じ、低気圧が発達することになります。温帯低気圧のエネルギー源は大気の温度差ですが、熱帯低気圧や台風のエネルギー源は熱帯地方の豊富な水蒸気が凝結する際に放出される潜熱なんですよ。台風が発生するためには海面の温度が26度以上であることが必要で、コリオリ力が小さい赤道付近の地域では発生しにくいことも知っておきましょう。

雲のでき方

 今日のテーマは、雲のでき方です。大気中に含むことのできる水蒸気圧の最大値を飽和水蒸気圧と呼び、飽和水蒸気圧に対する水蒸気圧の割合を、相対湿度と呼びます。飽和水蒸気圧は温度が下がると低下し、大気中の水蒸気圧が飽和水蒸気圧に等しくなる温度を露点といいます。露点よりも温度が低下すると、水蒸気は凝結して液体の水になります。地上付近の空気塊が持ち上げられると、断熱膨張によって温度が低下するため、水蒸気が凝結して雲ができるというわけです。実際には、大気中に浮遊している土壌粒子や海塩粒子、煙などの微粒子、エーロゾルを核として水蒸気が凝結して水滴になります。水蒸気が凝華して氷晶になって雲粒ができることもあります。水滴の核になるものは凝結核、氷晶の核になるものは氷晶核と呼ばれています。雲粒の大きさは100分の1mm程度で、これが100万個以上集まって1mmよりも大きくなると、雪や雨となります。

 水滴は0度以下になっても凍りにくいため、背が高く温度の低い雲の中では、過冷却水滴と氷晶が混在しています。氷晶の周りの飽和水蒸気圧は、過冷却水滴の周りの飽和水蒸気圧はよりも小さいため、過冷却水滴から蒸発した水蒸気が凝華して氷晶が成長します。また、大きくなった雲粒が落下すると、小さい雲粒を吸収してさらに大きくなります。そして、氷晶がそのまま地上へ落下してきたものが雪、途中で融解すると雨になります。この仕組みの雨を、冷たい雨といいます。一方、熱帯地域の雲は背が低く、上端にも氷晶がありません。この場合は、雲の中で落下と上昇を繰り返すことで水滴が成長し、やがて地上へ落下します。この仕組みの雨を、暖かい雨と呼びます。

 

大気の安定性

 今日のテーマは、大気の安定性です。飽和していない空気塊が上昇すると、100mあたり1度の割合で温度が低下していきます。この割合を乾燥断熱減率と呼びます。一方、飽和している空気では、温度低下にともない水蒸気が凝結・凝華して潜熱が生じるため、温度低下の割合が乾燥断熱減率よりも小さく、100mあたり0.5度になっています。これを湿潤断熱減率と呼びます。

未飽和の空気塊が山を越えるときを考えてみましょう。はじめは乾燥断熱減率に沿って温度が下がりますが、温度が露点を下回ると雲が生じて雨が降り、湿潤断熱減率に沿って温度が下がっていきます。山頂を超えるまでに雲がすべて雨で消費された場合は、乾燥断熱減率に沿って温度が上昇しながら山を下ります。その結果、山を越える前よりも空気塊の温度が上昇することになります。これをフェーン現象といいます。

また、ある空気塊を上昇させたとき、周囲の温度の気温減率が乾燥断熱減率よりも大きい場合、空気塊の温度は周囲よりも高くなり、上昇を続けます。このような大気の状態を、絶対不安定といいます。一方、周囲の気温減率が湿潤断熱減率よりも小さい場合は、空気塊の温度は周囲よりも低くなり、下降することになります。このような大気の状態を、絶対安定といいます。周囲の気温減率が湿潤断熱減率と乾燥断熱減率の間のときは、条件付き不安定と呼ばれ、空気塊が飽和していれば不安定ということになります。放射冷却によって地表の温度が低いときや、上層に暖気が存在する前線面などでは、上空に向かって温度が高くなっていることがあります。これを逆転層と呼び、逆転層の大気は絶対安定になっています。

海水の大循環

 今日のテーマは、海洋の構造です。海水には塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの塩類が含まれています。塩類の割合を塩分と呼び、海水1kgあたり約35gで、35パーミルです。

海面の水温は海面と大気の間の熱のやり取りで決まります。海水は深さによって温度が下がりますが、その下がり方は緯度によって異なっています。例えば中緯度帯の夏では図のように変化します。海面付近の温度は季節変化が大きいのですが、よく混合されていて、温度変化は小さくなっています。この層を表層混合層と呼びます。深部は深層と呼ばれ、1年を通して13度と冷たく温度変化は小さくなっています。その間の温度変化が大きな層は、主水温躍層と呼ばれています。

 冷たく密度が大きい海水は沈むため、グリーンランド付近や南極付近で沈み、海底を赤道に向かって進んで上昇します。この流れは深層循環と呼ばれ、元の場所に戻るまでに2000年もかかります。

 一方、海面付近の流れは風の影響を強く受けます。偏西風や貿易風の間の海域では、コリオリ力によって海水が右向きに力を受けるため、海面が周囲よりも高くなっています。この流れをエクマン吹送流と呼び、海水の移動をエクマン輸送と呼びます。この海域の西側や東側には圧力傾度力がはたらき、コリオリ力とつり合っています。そのため、北半球の海洋では時計回りの、南半球の海洋では反時計回りの海流ができているのです。また、高緯度ほどコリオリ力が大きいため、西側では流れが強められます。これを、西岸強化と呼びます。

テレコネクション

 大気と海洋は熱や物質をやり取りしながら、互いに影響を及ぼし合っています。そのため、ある地点の気象が遠くの場所に影響を及ぼすことがあり、これをテレコネクションと呼びます。例えば数年に一度、赤道太平洋東部の広い範囲で海水温が高くなる現象をエルニーニョ現象と呼び、離れた地域の気象にさまざまな影響を及ぼします。赤道地域では東よりの貿易風のため、暖かい海水は西部に吹き寄せられています。これを埋め合わせるように、東部では深海から冷たい海水が沸き上がっています。ところが、貿易風が弱まると暖かい海水が平時よりも東側へ移動し、深海からの冷たい海水の上昇が弱まります。平常時は太平洋西部の気圧が低く、雲が活発に発生していますが、エルニーニョ現象が起こると、これが太平洋中部へ移動することになります。すると、日本では太平洋高気圧が弱まり、梅雨明けが遅れたり、平均気温が低下したり、台風が減ったりします。また、季節風が弱まるため、暖冬となることが多くなります。逆に、貿易風が平年よりも強く、太平洋中~東部の水温が平年よりも低くなる現象を、ラニーニャ現象といいます。ラニーニャ現象が起こると、暑い夏、寒い冬になります。このように、南太平洋の東部と西部の海面気圧は、一方が高ければもう一方が低くなるという変動をしており、南方振動と呼ばれています。日本に影響を与える変動に、北極振動もあります。北極の上空の気圧が平年よりも低い場合を北極振動が正であるといい、偏西風が強く、日本付近は暖冬となります。北極振動が負の場合は、偏西風が弱く南北の蛇行が大きくなるため、寒気が入りやすく、日本付近は厳しい寒さとなります。

日本の天気

 春になって冬の季節風が弱まると、南北の気温差が大きくなって温帯低気圧が発生しやすくなります。本州南岸に沿って低気圧が東に進むと、関東地方が大雪になる場合があります。これを南岸低気圧と呼びます。季節が進んで低気圧が日本海を進むようになると、この日本海低気圧に向かって南風が強く吹くようになります。立春から春分までに最初に吹くこの南風は、春一番と呼ばれています。

 6月から7月になると、冷たいオホーツク海高気圧と暖かい太平洋高気圧の間に梅雨前線が停滞します。梅雨前線の南西側から下層に流れ込む高温多湿の気流によって、西日本は大雨となります。夏にオホーツク海高気圧が発達すると、東日本の太平洋側に北東の冷たい風が吹き、冷害をもたらします。この風をやませといいます。

 オホーツク海高気圧が消滅して太平洋高気圧に覆われるようになると、南高北低型の気圧配置となります。等圧線の間隔が広く風が弱いため、蒸し暑く晴れる日が続きます。日中、強い日差しで地上付近の気温が高くなったり、南からの暖かく湿った空気が流れ込んだりすると、上昇気流が生じて積乱雲が発達し、夕立や雷が発生します。

 秋になり、太平洋高気圧が弱まってくると、北側の冷たい高気圧との間に秋雨前線が現れます。秋雨前線は梅雨前線よりも活発ではありませんが、台風が近づいて刺激されると、大雨になることがあります。秋の台風は弱まった太平洋高気圧の西縁に沿って進むため、日本付近を通過することが夏よりも多くなります。

冬の日本列島付近は等圧線が南北方向にのび、西高東低の気圧配置となります。上層では偏西風が大きく蛇行し、上層には気圧の谷が発達します。低温で乾燥した背の低いシベリア高気圧から北西の季節風が吹きだし、日本海上を通過すると、空気塊は熱と水蒸気を受け取って変質します。この空気塊が脊梁山脈を超えるとき、日本海側の山間部に大雪を降らせます。これを山雪と呼びます。太平洋側は乾燥した晴天となることが多いです。一方、日本海の上空に寒気が南下して日本海が気圧の谷になると、風速が弱まり、日本海沿岸の平野部が大雪になります。これを里雪といいます。

気象災害

気象災害には、大雨、大雪、突風、高潮などがあります。日本の年間平均降水量は約1700mmで、世界の年間平均降水量約970mmと比較して非常に多くなっています。積乱雲が次々に発生、発達すると数時間にたくさん降ることがあり、これを集中豪雨と呼びます。大雨によって河川の水位や流量が増大すると、河川が氾濫して洪水が生じることがあります。山間部に大雨が降ると、土砂災害が発生しやすくなります。急斜面で地表の土砂が崩れ落ちる現象をがけ崩れと呼び、多量の土砂と水が高速で流れ下る現象を土石流と呼びます。さらに、斜面の一部または全体が面に沿って下方に移動する現象を地すべりと呼びます。

冬になると、日本海側の地域を中心に大雪の被害が起こります。冬から春にかけて南岸低気圧が通過すると、関東地方より西の太平洋側でも起こりやすくなります。山地では雪崩に注意が必要です。

突風は発達した積乱雲に伴って発生することが多いです。渦巻き状の激しい上昇流が竜巻で、漏斗状に見えます。中心付近では風速が100メートル毎秒を超えることもあります。積乱雲で冷やされて重たくなった空気が下降し、地上に衝突する強い吹き出しをダウンバーストと呼びます。冷たい空気が周りの暖かい空気に向かって流れ出すと、小規模な寒冷前線ができ、ガストフロントと呼ばれています。 

高潮は、台風などに伴う気圧の低下と強風で海面が高くなる現象です。太陽と月と地球が一直線に並んだ時期を大潮と呼び、大潮の満潮に重なると、高潮の被害が大きくなりやすいです。さらに、遠浅の海や陸地に入り込んでいるような湾でも被害が大きくなりやすいです。

人間生活と地球環境

人間生活が地球環境に与えた影響をいくつか紹介していきます。

都市特有の気候を都市気候と呼び、大気汚染や光化学スモッグの発生、日射量の減少、ビル風などが該当します。都市部では大量の熱が出ていること、舗装や植物の減少による蒸発量が低下していることなどにより、気温が郊外よりも高くなっています。これをヒートアイランド現象と呼びます。地球全体の平均気温は100年間でおよそ0.7度上昇しましたが、都市部ではこの3倍を超える割合で温度が上昇しています。

地球放射を大気が吸収して地球をあたためる働きを温室効果と呼び、温室効果をもたらす気体を温室効果ガスと呼びます。温室効果ガスには水蒸気や二酸化炭素、メタンなどが該当します。二酸化炭素の温室効果は小さいものの、量が多いため、地球への影響が大きいといわれています。産業革命以降、二酸化炭素濃度が上昇していることが、近年の平均気温の上昇の原因であるという意見があります。

雨水にはもともと二酸化炭素が溶けているため、やや弱い酸性になっています。ところが、化石燃料の燃焼などで生じた酸性物質が溶け込むと、通常よりも強い酸性を示すようになります。これを酸性雨と呼び、コンクリートを溶かしたり金属を腐食させたりするため、建造物に被害が生じます。また、土壌や河川などを汚染すると生態系に影響を与えます。

 かつて人工的に生産され、大気中に放出されたフロンには、成層圏で太陽の紫外線を受けて分解され、塩素原子を生じるものがあります。この塩素原子が触媒としてはたらくと、オゾンが破壊され、オゾンホールができます。フロンの生産は中止されていて、オゾンホールは縮小傾向になっています。