いろいろなエネルギー


エネルギー保存の法則と変換効率


 運動エネルギーと位置エネルギーの和を力学的エネルギーと呼び、摩擦や空気抵抗がないとき、力学的エネルギーは一定に保たれる。これを「力学的エネルギー保存の法則」と呼ぶ。摩擦や空気抵抗があるときは、それによって熱エネルギーが発生し、力学的エネルギーが失われてしまうのだ。ただし、熱エネルギーなどの他のエネルギーを含めると、変化の前後でエネルギーが一定であると言える。これを「エネルギー保存の法則」と呼ぶ。

 

 電気エネルギーは、光エネルギーや音エネルギー、熱エネルギーなどに変換して使うことができる。このとき、エネルギーの形は変わってしまうが、変化の前後で総量は一定に保たれている。これも「エネルギー保存の法則」である。

 

 電気器具にはそれぞれ変換して使いたいエネルギーがある。例えば白熱電球や発光ダイオードなどの照明器具は、電気エネルギーを光エネルギーとして利用するのが目的である。ただ、すべての電気エネルギーが光エネルギーに変換できるわけではなく、熱エネルギーをとして周囲の空気を温めてもいる。このとき、元のエネルギーから目的のエネルギーとしてどれだけ取り出すことができたかの割合を、「変換効率」と呼ぶ。白熱電球の変換効率は約10%、発光ダイオードのへ観光率は約40%と言われている。

 

熱の伝わり方


 生じた熱は次のような3種類の方法で伝わっていく。1つめは接触した高温物体から低温物体へと伝わる方法で、これを「熱伝導」と呼ぶ。2つめは、部屋の温かい空気が上へ、冷たい空気が下へ移動するように、液体や気体が空間内で循環して熱が伝わる方法で、これを「対流」と呼ぶ。3つめは太陽や熱せられたストーブから熱が空間を伝わってくる方法で、これを「熱放射」と呼ぶ。

 

いろいろな発電方法


 発電所では、主にタービンを回して電磁誘導によって電気エネルギーを作り出している。水力発電所ではダムで貯めた水の位置エネルギーを使ってタービンを回している。火力発電所では石油や天然ガスといった化石燃料を燃やして水を蒸発させ、得られた高温・高圧の水蒸気でタービンを回している。原子力発電所では核分裂という現象によって生じた熱エネルギーで水を蒸発させ、タービンを回している。

 水力発電所のメリットは、化石燃料を消費しないこと。ただし、ダムが必要なことから、設置場所が限られるというデメリットがある。火力発電所のメリットは発電効率がよく、発電量の調整がしやすいことにある。しかし、量が限られている化石燃料を消費することや、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、大気汚染の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物を排出するというデメリットがある。原子力発電所のメリットは化石燃料を消費しないことであるが、放射性物質の厳しい管理が必要であったり、事故による影響が大きいと言ったデメリットがある。

 

 ほかの発電方法も紹介しよう。太陽光発電では、光エネルギーを電気エネルギーに変換している。化石燃料を消費しないというメリットがあるが、発電効率が悪く、設置場所が限られる。地熱を利用した蒸気でタービンを回す地熱発電や、風を利用してタービンを回す風力発電も化石燃料を利用しないが、やはり設置場所が限られる。数が限られている化石燃料などを利用しないこのようなエネルギーを「再生可能エネルギー」と呼ぶ。発電方法はいろいろとあるが、どれもメリットとデメリットがあるため、どれか1つに絞ればよいというわけではない。これらを上手く利用していくことが求められているだろう。

 

 化石燃料を燃やすと温室効果の原因となる二酸化炭素が生じる。木材などの生物資源(バイオマス)を利用することでも二酸化炭素が生じるが、これはもともと生物資源が光合成によって取り込んだものなので、トータルで二酸化炭素が生じないと言える。このような考えを「カーボンニュートラル」と呼ぶ。

 また、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池も実用化されている。このように、なるべく二酸化炭素や大気汚染物質を排出しない方法が考えられている。

 

 また、生産した電気エネルギーを効率よく使用する工夫も求められている。例えばほかの用途で使用したときに生じた熱エネルギーを回収することで、部屋を暖めたりお湯を沸かしたりすることができる。これを「コージェネレーションシステム」と呼ぶ。コージェネレーションシステムによって、全体の変換効率を70%にすることができると言われている。