音の性質


音源


 光に続いて、私たちの生活に身近な存在である音について詳しく見ていこう。音を発生させる源を「音源」といい、よく観察してみると、音を発しているときの音源は振動していることが分かる。

 

 では音はどのように伝わっているのだろう。音叉(おんさ)という装置を叩いて音を発生させてみる。この音叉のすぐ近くに同じ種類の音叉を置いておくと、なんと触れていない方の音叉も振動して音が発生するのだ。このことから、音は空気中を伝わったと考えることができる。もっと言えば、近くの音叉を振動させたことから、音は空気中を、振動しながら伝わっていることも予想ができる。空気が振動していることは、叩いた音叉にロウソクの火を近づけてみると、火がゆらゆら震えることなどから確かめることができる。

 

 では空気がないと音は伝わらないのだろうか。これを確かめるため、音が鳴っているブザーを容器内に入れて、容器内から空気を抜いていくという実験をしてみる。すると、徐々に音が小さくなっていくのである。このことから、音が伝わるためには空気が必要であることが分かる。ただし、空気だけでなく、水や金属などの内部も音は伝わる。つまり、音を伝えるための物質が必要ということだ。このような物質を「媒質」という。

 

 音のように、振動が周囲へ伝わる現象「波」という。ロープの一端を振動させた時にも波は発生する。気を付けてほしいのは、波は振動が伝わるという現象であって、ロープの一部や音源付近の空気が、そのまま移動しているわけではないということ。ある位置の媒質の振動が隣の媒質を振動させ、それがまた隣の媒質を振動させる。そのようにして空気の振動が私たちの耳まで届き、鼓膜を振動させる現象が音である。

 

 雷や花火が、光が見えてから音が鳴るまでに数秒かかるという経験をしたことはないだろうか。これは、光が伝わる速さと音が伝わる速さが違うために起こる。

  • 光の速さ…秒速300000000m
  • 音の速さ…秒速340m

全然違うことが分かってもらえると思う。光はほとんど一瞬という速さで伝わることができるのだ。それに対して音はややゆっくりと伝わる。だから、例えば雷の光が見えてからゴロゴロと音が聞こえてくるまでに3秒かかったとすれば、

340×3=1020m

という計算によって、約1km離れた位置で雷が鳴っていることが分かるのだ。

 

振幅と振動数


 次は、1本の弦を張ったモノコードという装置を使って、いろいろな音を発生させてみよう。弦をはじくと、弦が震えて音が出る。

 

 ここで、弦を強くはじくと、弦は大きく振動して大きな音が発生するようになる。元の弦の位置からどれだけ膨らんだかを「振幅」というので、振幅が大きいほど大きな音が発生すると言える。

 

 続いて、弦につるしていたおもりを重たいものに変える。すると、高い音が発生する。

 

 また、はじく部分の弦を短くしても、高い音が発生する。

 

 生じる音を詳しく調べてみよう。生じた音をマイクで受け取って、オシロスコープという装置で表示する。オシロスコープは、振動の様子を見ることができる装置だ。

 

 オシロスコープに表示される波の縦方向を見ると、音の振幅が分かる。横方向は時間を表しているので、1回振動する時間が読み取れる。この時間を「周期」という。また、1秒間に振動する回数を「振動数」または「周波数」といい、ヘルツ(Hz)という単位で表される。例えば、周期が0.1秒であれば、1秒間に波は10回振動するので、振動数は10Hzということになる。振動数と周期の間には、

という関係がある。周期が長いほど、振動数は小さい。逆に周期が短いほど、振動数は大きい。

 

 音を大きくすると、オシロスコープの表示はこのように変わる。振幅が大きくなっていることが分かる。

 

 高い音が生じているとき、オシロスコープの表示はこのようになっている。もとの図と比較して、周期が短くなっていることが分かる。このことから、高い音は周期が短く、振動数が大きいということが分かる。

 振動数が大きいということは、音源が一定時間内にたくさん振動したということだ。だから、音源が振動しやすいほど高い音が生じることが分かる。

 

 だから例えば水を入れたビーカーを叩く場合、水が少ないほど、軽いのでビーカーは振動しにくく、高い音が生じる。

 

 また、リコーダーのように試験管の口に息を吹き込んで音を出す場合は、水の量が多いほど空気はたくさん振動できるので、高い音が生じる。