光の性質


光の直進性


 私たちの生活は光に満ち溢れている。普段、あまり気に掛けることはないけれど、その性質と特徴について詳しく考えてみよう。

 太陽や電球、蛍光灯など、みずから光を放つ物体を「光源」という。そして光源から放たれた光はまっすぐ進む。この性質を「光の直進性」という。当たり前な話だが、物理ではこの当たり前の内容を突き詰めていくことが大切なのだ。

 

 ものが見えるという現象は、光が目に入るということである。自ら光を放つ光源であれば、その光がそのまま目までやってくるため見ることができるのは分かる。しかし、他の物体はどうして見えるのだろうか。それは、光源から放たれた光が他の物体で跳ね返り、その光が目にやってくるのである。このような、光が跳ね返る現象を「光の反射」という。

 

 鏡を利用して光の反射について詳しく見ていく。鏡面で反射する前の光を「入射光」といい、鏡面に垂直な面から入射光までの角度を「入射角」という。また、反射した後の光を「反射光」といい、鏡面に垂直な面から反射光までの角度を「反射光」という。

 実験を繰り返し行うと、入射角と反射角は等しくなることが分かる。光の反射に関するこのきまりを「反射の法則」という。

 

 ところで、部屋の中に光源が1つなのにあらゆる角度から物体が見えるのはなぜだろう。それは、普通の物体の表面は鏡のような平面ではなく、細かな凹凸が無数にあるからである。そのためあらゆる方向に反射しており、あらゆる方向から見えるということである。このような現象を「乱反射」という。

 

光の反射


 鏡の奥に見える見かけの物体を「像」と呼ぶ。鏡面から像までの距離は、鏡面から物体までの距離と等しいという性質がある。この性質を利用して像の位置を把握して、その像からまっすぐ観察している人の目へ向かう矢印を書いてみよう。そして、その矢印と鏡面の交点へ向かって、物体から直線を引く。この作業により、物体から出た光が鏡面で反射して目へ向かう矢印を書くことができる。そんなに難しくないので、必ずこの光の通り道の矢印は書けるようになろう!

 

光の屈折


 空気中から水やガラスに入った光は、その境界面で折れ曲がって進む。この現象を「光の屈折」という。屈折する前の光を「入射光」といい、境界面に垂直な面から入射光までの角度を「入射角」という。屈折した後の光を「屈折光」といい、境界に垂直な面から屈折光までの角度を「屈折角」という。

 一般的に、空気中から他の物質の内部へ光が屈折して進むとき、屈折角の方が小さくなる

 

 逆に、物質の内部から空気中へ光が屈折して出ていくとき、屈折角の方が大きくなる

 

 空気と物質の境界面では、当然、屈折だけでなく反射も起こっている。そして、入射角を徐々に大きくしていくと、屈折角も徐々に大きくなっていき、やがて屈折光が空気中へと現れず、すべての入射光が反射するようになる。この現象を「全反射」という。また、ギリギリ全反射を起こすときの入射角を「臨界角」という。

 

 最後に面白い現象を1つ紹介する。水にストローを浸けると、ストローが折れ曲がって見えるという経験をしたことはないだろうか。これは、水中にあるストローの先端から出た光が屈折して空気中に進み、私たちの目へやってくるために起こる。

 

 私たちの目には、光がまっすぐやってきたように見えるので、本当よりも少し浅い位置にストローの先端があるように見えるのだ。その結果、ストローは折れ曲がったように見える。