さぁ、いよいよ多くの高校生を悩ませる『波』の分野に入るとしよう。この分野を難しく感じるのは、動きが複雑に見えるからなので、どのような動きをするのかを正しくイメージできるかどうかがカギになる。とりあえず、実際に波の動きを見てみよう。
・パルス波
・連続波(正弦波)
波とは、「波源の振動が媒質を伝わる現象」のこと。上に示したアニメーションの例では、どちらの波も一定の速さで右向きに動いている。この速さを波の速さという。
また、媒質というのは波を伝える物質のことで、例えばロープを伝わる波の場合はロープ、音波の場合は空気、地震波の場合は岩石が媒質ということになる。
波は等速で伝わっていくのだが、媒質1つ1つに注目をしてみると、その動きは単振動になっている。隣あった媒質が少しずつずれて単振動することで、波を進めているのだ。
このように、波という現象は、波の動き(等速直線運動)と媒質の動き(単振動)という2種類の動きを考えなくてはならない。このことが多くの高校生を悩ませるポイントなのだ。悩んだら、今はどちらの動きを考えているのかを意識してみよう。
連続的な波(連続波)のうち、いわゆる波らしい波のことを正弦波(sine wave)という。この正弦波のグラフとして次の2種類が登場するので、しっかりと区別をしよう。
時間を止めて、特定の時刻の「波形」を表したグラフをy-xグラフという。
特定の位置に注目して、その部分の媒質の「時間変化」を表したグラフをy-tグラフという。はじめに示したアニメーションの1点●の動き(単振動)を追いかけると、上のグラフが描ける。
媒質が1往復する時間を周期といって、T[s]と表す。また、媒質が1秒間に何回往復するかを振動数といって、f[Hz(ヘルツ)]と表す。Tとfは逆数の関係になっている。
波の動きを考えるとき、2種類の動きを丁寧に調べるという作業がとても大切になってくる。その練習をしてみよう。
波源の媒質をT/4ずつ動かしたときの波形が上の図。この図から、1周期(T[s])のあいだに波は1波長(λ[m])進んでいることが分かる。このことから波の速さv[m/s]を計算することができて、
これを、波の基本式という。媒質の振動と波の動きを結びつけているとっても大切な式なので、必ず覚えよう。
問題
時刻t=0[s]における波形が次のy-xグラフで表されているとき、位置x=5.0[m]の媒質の時間変化をy-tグラフ上に示せ。
→まず、グラフからこの波の振幅A=0.50[m]と波長λ=5.0[m]を読み取ることができる。さらに、波の速さがv=2.5[m/s]だから、波の基本式と振動数の式より、周期T[s]は、
続いてy-tグラフの概形を考える。波形と波の進む向きから、x=5.0[m]の媒質は現在変位y=0[m]であり、y軸の負の向きに動いていることが分かる。よって、最終的にy-tグラフは次のように描ける。